愚痴・憎まれ口・無駄口・世迷言・独断と偏見・屁理屈・その他言いたい放題!
その2.≪僕のセミ・ヌード秘話(悲話?)!≫
「創作舞踊のサロン」の「くじら浜」をご覧になった方達から、「い
い身体、してますネェ」とか、「褌姿がセクシーですネェ」とか言う
メールを、よく頂きます。誉めて頂いたものと勝手に解釈して、素直
に喜んでますけど、あれには涙なしでは語れない(?)秘話があるん
です!何人かの方達に、「その内、お話しますネ」とお返事したもの
の、話せば長くなるので、ここに書くことにしました。涙ぐましい苦
労話を、マァ一通り、聞いてくンネェ、ヨ! 。
あの作品では、「ワダツミ(海)」と「イサナ(鯨)」を演じた人達
は、出来るだけ象徴的かつ様式的な扮装にして、逆に「銛打ち」は出
来るだけリアルな格好にしようと考えました。演じ方も、彼らには充
分に踊ってもらい、僕はマイムに徹する事で、大自然とチッポケな人
間との対比を、鮮明に表現しようと意図した訳です。そこで彼らには
「能衣装」に近い扮装をさせました。女性達は何とかなるにしても、
男性達の大口袴が揃うだろうかと心配でしたが、衣装屋さんが倉庫の
奥にしまい込んであったお揃いの袴を見つけてくれました。大分昔に
「知盛」の分身が大勢出てくる新作をやったときに作ったもので、そ
れっきり使った事がなかったそうです。かくして、金の立浪模様の豪
華な大口袴が8枚揃った訳ですが、僕の衣装はというと、袖無しのハ
ンテンが2枚と、赤褌が1本だけというお粗末さで、その時の発表会
の出演者の中で、一番安い衣装でした。 。
そんな粗末な衣装を着るからには、当然身体が丸見えという事になり
ます。特に後半の水中での格闘シーンからは、丸裸にならなければな
りません。それも、落ちぶれたとはいえ、以前は「村一番の銛打ち」
と言われた漁師の役ですから、赤銅色に焼けた逞しい身体でなければ
なりません。始めはこの役は僕が演じる予定ではなかったのですが、
なかなかこれはという人が見つからない内に、とうとう僕がやる羽目
になってしまったのです。 。
そこで、僕の役作り(と言うより、身体作り?)の戦いが始まりまし
た。まずは、毎日ジムに通って筋力トレーニングです。ベテランのイ
ンストラクターにメニューを作ってもらったのですが、そのメニュー
たるや、ボディビルのコンテストに出る人達のメニューと殆んど変わ
らないハードなヤツで、恐ろしくキツいのです。「僕、もう50歳な
んですけど・・・」と言っても、「イヤイヤ、これ位やらなきゃ目標
に達しません!」とケンモホロロ!何度もくじけそうになったり、テ
ニス肘になったりしながら、それでも何とかやり抜きました。ヤッパ
リやるからには、みっともない身体は見せたくないという思いがあっ
たからでしょうネ。遂にはアミノ酸や筋肉増強剤まで使ったので、そ
ばで見ていたボディビルダー達があきれ返った程でした。 。
そんな訳で、身体の方は何とか締まってきたのですが、問題は「日焼
け」です。「日焼けなんて、プールに行けばいくらでも甲羅干しが出
来るし、第一長崎はキレイな海に囲まれてて、日焼けにはモッテコイ
の場所じゃないか」と思われるでしょうが、ことはそう簡単にはいか
ないのです。確かに日焼けをしようと思えばすぐに出来るのですが、
考えてもみて下さい。褌1本の役ですヨ!そうです!水着の跡がつい
てはいけないんです!まさか白昼堂々とスッポンポンで焼く訳にもい
かないし、Tバック穿いててもネェ・・・かなり抵抗あるでしょう?
そこで、長崎市にたった1軒しかない「日焼けサロン」に通う事にし
た訳ですが、1回に何千円もかかる上に、シャワーもないのです。貧
乏な僕にはソウソウ続かないので、昼間仕事の暇を見て、自宅のベラ
ンダで焼く事にしました。幸い二階のベランダは、寝っ転がってしま
えば人の目にはつきません。素っ裸でバスタオルを腰に巻いて、素早
くベランダに出ると、バスタオルを床に敷いて横になる・・・という
段取りです。勿論スポーツタオルや日焼け用のオイル、冷水を入れた
魔法瓶と時計も用意して準備万端。出稽古に出掛ける家内に「行って
らっしゃい!誰か来ると困るから、留守電にして戸締りもチャンとし
て、ベランダの窓だけは鍵をかけないでネ!」と指示して横になりま
した。ムラにならないように注意しながらタップリ1時間、「もうこ
れで限界!」とばかりに部屋に入ろうとすると、ナント窓が開かない
じゃア〜リマセンカ!!! 。
隣の部屋の出窓が、風通しの為に開いているのは知ってたんですが、
いくら自分の家とは言え、白昼にスッポンポンでベランダを乗り越え
る訳にも行かず、かと言ってそのまま家内が帰って来るまでジッとし
てたら、凄い火脹れになってしまいます。もともと僕は、人一倍肌が
弱いんです。泣きそうになりながら、弱々しく窓を叩いてたら、運よ
く娘が小学校から帰って来て、窓を開けてくれました。帰って来た家
内に文句を言ったら、「ゴメン、ゴメン、ツイいつもの習慣で。」と
謝りながら、娘と二人で腹を抱えて笑い転げたのでした。マッタク!
しかも、しかもですヨ!2度も同じ目に合わされたと言ったら、貴方
信じてくれますか?さいわい2回目も娘が開けてくれたので事なきを
得たのですか、僕も流石にこれには懲りて、それ以降ベランダで焼く
のは止めにしました。その分「日焼けサロン」の費用が嵩んだので、
一番安いはずの衣装代(?)が、結局は随分高くついてしまったと言
うオソマツ!お後がよろしいようで・・・。 。